広島、66回目の「原爆の日」 エネルギー政策見直しを

2011/8/6 9:52 日経

 広島は6日、66回目の「原爆の日」を迎えた。広島市中区平和記念公園で開かれた「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)には被爆者や遺族、菅直人首相らが参列。松井一実広島市長は平和宣言で東京電力福島第1原子力発電所の事故に触れ、日本政府に「早急にエネルギー政策を見直し、具体的な対応策を講じていくべきだ」と訴えた。

 式典には約5万人が参列し、過去最多だった昨年より8カ国少ない66カ国の代表が出席した。米国からはズムワルト駐日首席公使が出席。昨年参列した国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は欠席し、代理者がメッセージを読み上げた。

 原爆が投下された午前8時15分には「平和の鐘」が打ち鳴らされ、参列者全員が1分間の黙とうをささげた。慰霊碑にはこの1年間に死亡、または死亡が確認された5785人の名簿が奉納され、広島の原爆死没者は27万5230人となった。

 松井市長は被爆者から公募した被爆体験談を紹介し、「核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に全力を尽くすことを誓う」と表明。東日本大震災に言及し、被災地が66年前の広島の姿をほうふつさせるとして、「被災地の皆さんを応援している」とエールを送った。

 原発については「国民の信頼を根底から崩した」と指摘。「脱原発を主張する人々や、原子力管理の一層の厳格化とともに再生可能エネルギーの活用を訴える人々がいる」として政府にエネルギー政策の見直しを求めた。平和宣言で原発問題に言及したのは、旧ソ連(現ウクライナ)でチェルノブイリ原発事故が発生した1986年以来。