消費増税案を民主決定 14年4月8%、15年10月10% 修正で半年先送り

2011/12/29 20:34 (2011/12/30 0:02更新)日本経済新聞

 民主党は29日、税制調査会・一体改革調査会の合同総会を開き、消費増税を了承した。総会に出席した野田佳彦首相(党代表)が2段階で消費税を引き上げる時期をそれぞれ半年遅らせ、2014年4月に8%、15年10月に10%とする案を提示した。増税の地ならしとして、国会議員の定数削減法案を来年1月召集の通常国会に提出することも表明した。

 党執行部は30日に政策調査会の役員会を開き、消費増税民主党案を決定する。政府・与党は年明けに社会保障改革本部で、年金など社会保障部分と、今回了承した税制部分を包括した一体改革素案を取りまとめ、野党に協議を呼びかける。

 消費増税を巡る調整ではすでに10人規模の離党者が出ており、反対派は今後も攻勢を強める構えを崩していない。与党内の亀裂は深刻になっており、政権運営は厳しさを増している。

 首相は総会のあいさつで、議員定数削減だけでなく、国家公務員給与削減法案や特別会計改革も課題にあげ、政治・行政改革の実現を消費増税の前提にすると訴えた。議員定数削減は現在の衆院定数480(小選挙区300、比例代表180)から80減らす内容となる。

 そのうえで「野党への協力呼びかけはこれからもやるが、我々の考えている改革は『こうだ』とまとめて先に法案を提出し、成立に全力を期す」と強調した。

 合同総会ではこれまでに消費税率を13年10月に8%、15年4月に10%に引き上げる案を執行部が提示していた。29日は増税反対論が相次いだため、いったん休憩した後に首相は藤井裕久税制調査会長、前原誠司政調会長と対応を協議した。再開した合同総会で、首相自らが増税時期をそれぞれ半年遅らせ、14年4月と15年10月とする案を提示した。

 その後も反対論が続いたため、議員定数の削減と行政改革実行の重要性を強調した修正案を策定し、29日深夜に一任を取り付けた。藤井会長は「税調、政調の了承を得た」との認識を示した。

 自民党公明党は消費増税の協議に応じる構えを示していないうえ、首相が議員定数削減法案の国会提出に言及したことに「一方的だ」と反発を強めている。与党内でも反対論は強まっており、消費増税を実現するための関連法案の行方は予断を許さない。