そこで息をたっぷりすう

のどの痛みは激しくなるばかりだった。首筋の脹れは揉むと悪化するようだった。どうしたらいいのだろう。咳をしてさらに痛くなるのを防ごうと自然と息を止めた。からだが緊張で硬くなった。首筋の筋肉もまた。いつものように硬くなった。いつものように。そこで。ふと思って逆に息をすってみた。たっぷりと。思いのほか外気が流入してきた。アタマは抵抗した。冷気がのどによくないはず。もっと痛みはひどくなるぞ。ところが。実際は違った。痛みはあるが同時に唾液が分泌されてのどに流れ込んだ。これは大事なことだ。なおると直感した。首に手を当てて数回深呼吸をする。最近すっかり息をすうことを忘れていた。息ができるまで回復したのかもしれない。からだの警報は解除された。ごくゆっくりと。そして全身リラックス状態となった。必要なのは薬ではない。