首相「冷温停止の前倒しに全力」、原発周辺首長らと意見交換

菅直人首相は16日、福島県郡山市内のホテルで東京電力福島第1原子力発電所周辺の双葉町大熊町など12市町村の首長らと会談した。首相は原発事故収束にむけた工程表に関し、10月から来年1月までに原子炉の冷温停止を目指す「ステップ2」を前倒しで実現するよう努力する考えを表明した。 意見交換会では、細野豪志原発事故担当相らが政府と東電が19日に正式に発表する事故収束までの工程表の概要を説明。原子炉の安定冷却が目標だった「ステップ1」は期限の17日を前に「ほぼ達成できた」と報告した。首相は「(原発周辺の)多くの人が帰れるように、工程表のステップ2を前倒しで実現できるよう全力を挙げたい」と語った。 政府は「ステップ1」の達成を受け、福島第1原発から半径20キロメートル圏外で、不測の事態に備えていつでも避難できるように求める「緊急時避難準備区域」の解除に向けた地元の市町村との協議を進める方針。意見交換会の出席者によると、政府は解除の具体的な時期は示さなかったという。 首長らは避難区域の解除を巡り「避難するときよりも戻るときの方が住民にかなりの説明を要する。安全の根拠をきちんと伝えなければいけない」との意見が出た。土壌の除染や放射線モニタリングの強化、学校などインフラの復旧を求める声も相次いだ。 これに先立ち、首相は原発事故対応の拠点である「Jヴィレッジ」を訪問。事故対応にあたる現場作業員や自衛隊員を激励した。首相は作業員に「最前線で戦っているみなさんのおかげで事故の収束が前に進んでいる。献身的な活動に国民を代表してお礼申し上げる」と語った。(日経2011/7/16 20:48)