菅直人首相の29日の首相官邸での記者会見の詳細は以下の通り。

(1)「復興債の償還財源、責任をもって確保する」(29日夜)
2011.7.29 21:43 sankei

 菅直人首相の29日の首相官邸での記者会見の詳細は以下の通り。

 「今日は国民の皆さんに2つのことが報告できることを大変うれしく思っています。その一つはさきほどの復興本部において復興基本方針を決定することができた。そして、2つめは関係閣僚が議論を重ねてエネルギー環境会議の場でエネルギー政策に関する重要な決定を本日行うことができた」

 「これら2つのことは、3月11日の大震災と原発事故発生を踏まえた復興と原発エネルギー政策の政府としての統一的な方針を示すものであります。その意味でこの2つの重要な決定ができたことは大変重要でもあると同時に喜ばしいことだと考えています」

 「まず復旧復興について申し上げます。今週25日には約2兆円の第2次補正予算が成立し、復旧に向け1次補正では足りないものを盛り込んだ。そして先ほど開催された復興対策本部において復興基本方針を決定致しました。復旧の次ステージである本格復興に向けて政策の全体像を示すものであります。新たな発想の具体的な政策も数多く盛り込まれております」

 「また、5年間の集中復興期間に少なくとも19兆円の財政措置を講じることになっております。復興債を発行し償還財源も責任をもって確保いたします。この復興医基本方針をベースに3次補正の編成など復興への取り組みを本格化して参ります」

 「次に、原発エネルギー政策について政府としての基本方針を申し上げます。原発の再稼働については7月21日、総合的な安全評価の仕組み、いわゆるストレステストの具体策を確定し、公表いたしました。これは保安院だけでなく原子力安全委員会も関与する形で新しいルールを示すものであります。今後、自治体、さらには事業者などにこの新しいルールの周知を図るとともに、国民の皆さんにもルールを情報公開をして知らせてまいりたい」

 「そして本日関係閣僚によるエネルギー環境会議で原子力を含めたエネルギー政策に関する重要な決定が行われました。具体的には一つは当面のエネルギー需給安定策をとりまとめたものであります。そしてもうひとつは、中長期的な革新的エネルギー環境戦略として原発への依存度を低減させて、それに向けての工程表の策定や原発政策の決定的検証などを行うことを決定いたしました。これらの議論は3月11日の原発事故発生以来、さまざまな機会に私が申し上げてきたいことですが、例えばエネルギー基本計画の見直しといった考え方、こうしたことまで含めて今回、玄葉国家戦略大臣を中心に海江田経産大臣あるいは江田環境大臣ら関係閣僚で検討をしてきものであります」

(2)「原発事故収束に責任を果たしていく」(29日夜)
2011.7.29 22:06

 「そして、今日の決定をベースとしてさらに議論を重ねていくことになります。国民的な議論も大いに期待をいたしています。議論に必要なあらゆる情報を積極的に開示して参ります。今後、原発に依存しない社会を目指し、計画的、段階的に原発への依存度を下げていく、このことを政府としても進めて参ります」

 「原発事故関係ではすでに7月19日に発表したところでありますが、原子力事故が収束に向かって大きく前進をしているところであります。具体的には事故収束に向けてステップ1の目標を達成することができました。今後、ステップ2の着実な実現に向けて政府として全力を尽くす覚悟であります」

 「本日(29日)夕方、中学生のグループが官邸に来られて、震災復興に関わる人たちの激励の横断幕をいただきまし。その中に政府の力を信じていますという言葉があり、胸に響いたところです。私はこのような中学生、あるいは多くの国民が政府に信頼を寄せて頑張るようにというその気持ちを大切にして、この大震災の復旧・復興、さらには原子力事故の収束に向けて、全力をあげて責任を果たして参りたいと、このことを改めて決意したところです。私からは以上です」