夢のような一生

年若い頃は、少ない実際の体験や本から得た僅かな知識をもとに、ものごとが自分にとって特別に存在しているように感じるし、それは後から思えば夢をみているのと同じという気もする。きょうもいつもと同じように目が覚めるが、振り返ったきのうは夢中に生きていたというしかない。夢見るころを過ぎてもそうであって、何も年若いときだけではない。昔の偶然のできごとが今は必然となって半生を支えている。この分だと一生を終えるときに全ては夢のようであったと感じるだろう。いつまでも現実は夢のようだ。若ければ前方に老いてくれば後方に夢が伸びているだけである。