NYダウ 500ドル超急落

8月11日 6時2分 NHK
10日の欧米の株式市場はヨーロッパの信用不安が広がることへの懸念から、再び株価が急落し、ニューヨーク市場のダウ平均株価は500ドル以上値下がりしました。
10日のヨーロッパの株式市場は、ギリシャに端を発した信用不安がさらに広がり、フランスの国債の格付けが引き下げられるのではないかとの観測が広がり、各国で株価が急落しました。これに対し、格付け会社が「フランス国債の格付けを当面維持する」として市場の観測を否定したものの、株価の下落には歯止めがかからず▽パリ市場で5.5%、▽ドイツ・フランクフルト市場で5.1%、▽ロンドン市場で3.1%などと、軒並み、大幅に値下がりしました。前日の取引で株価が400ドル以上値上がりしたニューヨーク市場でも、再び売り注文が増えて全面安となり、ダウ平均株価は500ドル以上、率にして4.6%急落しました。終値は前日より519ドル83セント安い1万719ドル94セントとなりました。ニューヨーク市場では前日、アメリカの中央銀行にあたるFRB連邦準備制度理事会が今後およそ2年間にわたって超低金利政策を維持するという方針を示したことを受けて株価が大幅に上昇しましたが、この日の取引ではヨーロッパの信用不安が拡大するのではないかという懸念が、前日の値上がり分を打ち消す形になり、再び先行きの不透明感が急速に高まっています。

10日のニューヨーク外国為替市場は、ギリシャに端を発した信用不安が拡大しフランスの国債の格付けが引き下げられるのではないかとの観測が広がり、ユーロを売って円を買う動きが強まり、これにつれて円高ドル安が進みました。このため円相場は、一時、1ドル=76円35銭をつけ、ことし3月につけた最高値に迫る水準まで値上がりしました。市場関係者は、「ヨーロッパの信用不安が拡大し、経済規模の大きいフランスの国債の格付けまでも引き下げられるのではないかという観測が広がったことから、金融市場の不透明感が急速に強まっている。市場では、さらに円高が進んだ場合に政府、日銀が再び市場介入に踏み切るかどうかに注目が集まっている」と話しています。

「格付け」は、民間の格付け会社が国の財政状態を独自に分析し、国の借金に当たる国債が確実に返済されるかをランク付けしたものです。今月5日にアメリカ国債の格付けを引き下げたアメリカの大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ」は、120か国以上の国債の信用度を21段階で評価しています。このうち、最上位で最も信頼度があり、安定的とされる「AAA」には、イギリス、ドイツ、フランス、それにオーストラリア、カナダ、シンガポールなどの国債が格付けされています。それより一段階低い「AA+」には、ベルギーとニュージーランド、そして、今回、アメリカ国債がこの段階に格付けされました。3番目の「AA」には、スペインやカタールなどの国債が格付けされています。日本の国債については、ことし1月に、巨額の財政赤字が続き、財政状況がさらに悪化するなどとして、8年9か月ぶりに引き下げられて、上から4番目の「AAー」となり、中国やサウジアラビアなどと同じになっています。また、深刻な財政危機に陥ったギリシャ国債は、たびたび格付けが引き下げられて、すでに投資不適格とされており、先月、下から2番目の「CC」になりました。