【菅首相会見】 (1)「やるべきことはやった」(26日夕)

産経 2011.8.26 18:36 (1/2ページ)

 菅直人首相が26日夕、首相官邸で行った退陣会見の詳報は以下の通り。

 「国民の皆さんに私からご報告をすることがあります。本日、公債特例法、そして再生可能エネルギー促進法が与野党の皆さんの努力によって成立しました。これで第2次補正予算を加え、私が特に重要視していた3つの重要案件がすべて成立したことになります。これにより以前から申し上げておりましたように本日をもって民主党の代表を辞任し、そして新代表が選出された後に首相の職を辞することといたします」

 「まず国民の皆さんに申し上げたいと思います。昨年の6月8日に首相の職に就いて以来、国民の多くの皆様から多くの叱咤激励をいただきました。温かい激励、厳しい批判、そのすべてが私にとってありがたく、うれしいものでありました。国民の皆様には心から感謝を申し上げます。また、ともに新しい政治への変革に挑戦してきた皆さんにも感謝を申し上げます。閣僚をはじめ政務三役、政府職員、与野党の国会議員、そして全国の党員サポーターの皆さんの支えがなければ、菅政権は一歩も進むことができませんでした。政権スタートの直後、参院選の敗北により、国会はねじれ状態となりました。党内でも昨年9月の代表選では全国の党員をはじめ多くの方々からご支持をいただき再選させていただきましたけれども、それにもかかわらず、厳しい環境が続きました。そうした中で、とにかく国民のために必要な政策を進める、こういう信念をもって1年3カ月、菅内閣として全力をあげて内外の諸課題に取り組んできました」

「退陣にあたっての私の偽らざる率直な感想は、与えられた厳しい環境のもとで『やるべきことはやった』という思いです。大震災からの復旧・復興、原発事故の収束、社会保障と税の一体改革など内閣の仕事は確実に前進しています。私の楽観的な性格かもしれませんが、厳しい条件の中で内閣としては一定の達成感を感じているところです。政治家の家に生まれたわけでもなく、市民運動からスタートした私が首相という重責を担い、やるべきことはやった、と思えるところまで来ることができたのは、国民の皆さん、そして特に利益誘導を求めず応援してくれた地元有権者のおかげです。本当にありがたいと思っています。私は首相に就任したとき、最小不幸社会を目指すと申し上げました。いかなる時代の国家であれ、政治が目指すべきものは国家、国民の不幸を最小にとどめおけるか、という点に尽きるからであります」

 「そのため、経済面では雇用の確保に力を注いでまいりました。仕事を失うということは経済的な困難だけではなくて、人として人間としての居場所と出番を失わせることになります。不幸に陥いる最大の要因の一つであります。私が取り組んだ新成長戦略も雇用をどれだけ生み出すか、ということを、そうした観点を重要視してつくりあげたものです」

(2)に続く