「平田容疑者と大阪に14年」 出頭の女に逮捕状請求

2012/1/10 13:47 日経

 公証役場事務長の監禁致死事件で逮捕されたオウム真理教元幹部、平田信容疑者(46)の逃亡を助けていたとみられる元教団看護師の女(49)が10日未明、警視庁大崎署(東京・品川)に出頭した。捜査関係者によると、女は「平田容疑者をかくまっていた。大阪府東大阪市にいた」と話しており、警視庁は犯人蔵匿容疑で逮捕状を請求した。

 同庁は同日午後にも、平田容疑者と女が住んでいたとみられる東大阪市内のマンションを家宅捜索し、同容疑者らの逃亡生活の解明を進める。

 捜査関係者によると、元教団看護師の女は10日午前3時ごろ、平田容疑者と面会を続けている滝本太郎弁護士に付き添われて大崎署に出頭した。平田容疑者が弁護士に女の居場所を伝え、弁護士が迎えに行ったという。

 女は「14年以上、平田容疑者と大阪にいた」などと説明。同容疑者が出頭した昨年12月31日まで東大阪市のマンションに一緒に住み、女は偽名で同市内の整骨院に勤めていたと話している。

 女は平田容疑者と親しかったとされ、警視庁は同容疑者の逃亡生活を支えていた可能性があるとみて所在を探していた。

 平田容疑者と女の足取りを巡っては、2人に似た男女が1995年7月に福島県猪苗代町のコテージに滞在。女は同年11月から翌96年2月まで仙台市宮城野区の料理店に偽名で勤務し、平田容疑者と同市内のアパートで同居していたとされる。

 その後の足取りは途絶え、昨年12月31日深夜に平田容疑者が警視庁丸の内署(東京・千代田)に出頭するまで2人とも行方が分からなくなっていた。

 女は病院などで看護師として勤務した後、93年にオウム真理教に入信。教団の「治療省」に所属して教団付属医院で働いていた。

 平田容疑者とは別の教団信者の男に逃走資金を渡した犯人隠避容疑と、仙台市で就職した際に虚偽の履歴書を提出した有印私文書偽造・同行使容疑で指名手配されていたが、ともに公訴時効が成立している。

 平田容疑者は逮捕後の取り調べで、17年近くに及んだ逃亡生活については「人に迷惑がかかる」などとして説明を拒んでいた。

 警視庁は駅などの防犯カメラの映像などから平田容疑者の出頭当日の足取りをたどり、関西方面に潜伏していた可能性があるとみて調べていた。