黒目川と柳瀬川

年末にあった友人から勧められた「出雲という思想」を国立の増田書店で立ち読みした。最終章が埼玉の氷川神社について書いてあって、著者が小さいころ東久留米市の滝川団地に住んでいたことを知った。川沿いの神社のほの暗い記憶を語る著者とは同世代だ。

グーグルマップでみるとその川は黒目川である。驚いたことにその上流には私の住んでいた東村山市の萩山があたる。もちろん暗渠ではあるが小平霊園の北側を西武線と交差するあたりの小さな坂の傾斜が今も身体の中にある。中学の三年間はいつもそのガードをくぐっていた。

黒目川とはヘンな名前だと思い返して、はっと気づいた。目黒川流域にいたから余計に思うのだろう。これは意味ではなく音をとらねばならない。クロメとクルメ。東久留米というのがいまようやく腑に落ちた。さらにいうと久米川。クロメガワに対してクメガワ。漢字を外すとよくわかる。

柳瀬川は東川から空堀川までの狭山丘陵の水源から荒川にそそぐのだが、黒目川とは合流しない。その間を野火止用水(伊豆殿掘)が玉川上水から分岐して流れる。