久米八幡から八国山緑地

西所沢駅から東南に尾根道を歩き始める。鉄塔のたもとで視界が開ける。絶景。柳瀬川流域が一望のもとにある。まっすぐ送電線が向かうそのさらに先にドーム球場が見える。高校のわきから崖下に降りる。永源寺という上杉管領の臣下大石氏の興した禅寺がある。大石氏は入間郡多摩郡十三郷の領主になり武蔵および伊豆の守護代になったこともある。木曽義仲の子孫と称していたらしい。

永源寺から久米八幡へ向かう。天気も良く清らかな気持ちになる。レストラン周のわきをのぼり長い階段の八幡の境内へ。延喜年間に岩清水八幡を勧請とある。京都市男山鳩峰。なるほど。水天宮のほうが賑やかだが、拝殿と本殿の裏にさらに小さな祠があって真新しいお供えが。奥宮だという。特別な気分になる。枯れ落ち葉が細い枝にひっかかり風に吹かれて音がしている。

高級住宅地の松が丘を超え八国山へ。思えば新田義貞木曽義仲も政権打倒の立役者である。時の幕府を倒すがしかし新たな時代を切り開く者ではない。その歴史に翻弄されるさまが芭蕉好みだったか。尾根道から東京都。ほっこり広場という雑木林に囲まれたあたりがとてもいい。

所沢から入った東村山は田舎である。八国山通りを東村山駅に向かう。北川を超え前川に交差する。すべてが柳瀬川に流れ込む。後で知るが柳瀬川のことを久米川と呼んだのだそうだ。地名はむしろ久米氏という豪族の名から。八幡神を勧請したのは古代の軍事氏族だったか。

駅の西口にはタワー住宅。低層部にある本屋で今日の散歩にふさわしい二冊を買う。新春号の「散歩の達人 所沢・東村山」と「トトロのふるさと 狭山丘陵見て歩き」。友人に勧められた「村上春樹を読みつくす」もみつけて立ち読み。所沢駅構内でそばを食い小手指西友で買い物をして発車する間際のバスに乗り込む。