ディープ東村山の方へ

散歩の達人」の特集はよい。所沢・東村山、そのほか北多摩の東久留米、清瀬東大和が対象エリア。航空発祥100年記念の所沢だけでもたないからなのか、滅多に取り上げられないこの地域がひとつになっているのは「空と森とうどんの町」ということでトトロの森と山田うどんを念頭においているが、狭山丘陵という緑豊かな境界地帯があるからに他ならない。「川と社とお茶の土地」といってもいい。

東村山のページではやはり気になる東村山音頭と、最近使い始めて驚いた秋津駅周辺のたくさんの立ち飲み屋の記事。小学三年生の時に萩山の新興住宅地に引っ越してきて、いじめにあったりしてなかなか馴染めなかったときに気をそらしてくれたのが志村けんだった。自転車でゆかりの地を訪ねたり(もちろん東村山一丁目はなかった)したのも既にいまの散策癖と同じだ。

ある日ひとりで川に沿って自転車を漕いでいったら、広大な団地のあたりで日が暮れたという記憶がある。おそらくは黒目川だったのだろう。日常的な行動圏では地方小出版コーナーで有名な東村山中央図書館があってそこが北限だった。多摩湖町に祖父の薬局があったが雑木林が残っていたとしても、萩山と同様に住宅地でしかなかった。今回は所沢側から山を越えて諏訪町、野口町、久米川町あたりを歩いた。じつに田舎だった。

志村けんの同級生のやっている酒場があるそうだ。いずれ訪れるに違いない。豊島酒造という古い酒蔵もある。街道筋に発達した歴史ある町なのだ。創業塾に参加された年配おふたりが東村山の方だった。高校の同窓会で出会った元教頭先生は、化成小学校で志村けんのお父さんに習ったという。出版書店系の有名人にも在住のシニアがいらしたのを思い出した。土地に根差すという実感が生まれてきたようだ。