事実は小説より奇なり

吉田健一も小説の中で「そんなことありえないという者がいたらそれは小説の読みすぎだ」という言い方をしている。少なくとも自分には小説などを読んでいるより限られた自分の人生のなかに次々と起こる不思議な出来事や人の縁に対し誠実に対処することの方がはるかに重要である。本を読みすぎると、こうあるべきだという思考ができあがる。素直さを失う。日々ありがたく受ける生をそのまま生かしていく事を忘れる。ある住まいに寝起きして毎日しっかり飲食をくりかえすこと。その現実にしか手掛かりはない。教科書からではなく現実から学ぶこと。半生を通じて自己の体験や多くの人との交流からこれは信念となりつつある。