肌に手が手に肌がさわる

自分の身体を大切にするとしてまずは手を肌にあててみる。たとえば首に手を触れると首は手がさわったことを感じる。それまで私は手でものに触っているのだが手に首がさわると首に手がさわったことも感じる。手に肌がさわる感じは消えることなく肌に手がさわる。いやここは慎重に言葉を選ばなければならない。はたして同時に感じるのだろうか。さわるのとさわられるのを。意識を肌におくのか手におくのか。息をしずめて肌と手に感覚を集中する。手は首の固さを感じるし首は手の温かさを感じている。とくに首は手が触れたことで自ら硬いことを知り、手は首に触れたことで自ら暖かいことも知る。久しぶりにこの反転する感覚をゆっくりと味わう。説明のロジックはいろいろあるだろうが、治療薬や整体法にたよる前に、手当という言葉のこの原点を重視したい。