安東次男46歳

「この本の内容は、『芭蕉』というよりは、むしろ「近世文人意識の成立とその展開」とでも題した方が、ふさわしいかもしれない。その試みの一つとして、私は、他の文学とはちがい連衆なくしては成り立たない、俳諧という独特の文学をえらんだ。芭蕉という名は、むしろその結果として浮びあがってきた、といった方がよい。」(昭和40年 『芭蕉 その詞と心の文学』「あとがき」より)