2011-09-07から1日間の記事一覧

篠田一士57歳

「三年間、あるいは、休学していた時期をも含めて、四年間に、森さんから、なにを学んだかといえば、あれこれ、数えきれない事柄があって、とても言い尽くすどころか、その半ばを挙げることさえ叶わぬ思いがするが、あえて、一口で言ってしまえば、やはり、…

小西甚一55歳

「わたくしが高等師範在学のころから文理科大学の二年あたりにかけて、先生は訓詁と考証でわれわれを厳しく錬えられた。本文を正確に解釈し、事実を厳密に考証する作業だけがわれわれ学生に対する訓練であって、哲学的な談理は大禁物であった。わたくしがは…

能勢朝次49歳

「かように考えると、言葉そのものに関して十分の修養を積んだ者でなくては、連句は容易に創作も鑑賞もでき難いものであることがわかってくる。言葉の修養は同時にまた、詩心の修養でもある。詩心を言葉に託して表現し、言葉を通して詩心を感じる修養である…

安東次男46歳

「この本の内容は、『芭蕉』というよりは、むしろ「近世文人意識の成立とその展開」とでも題した方が、ふさわしいかもしれない。その試みの一つとして、私は、他の文学とはちがい連衆なくしては成り立たない、俳諧という独特の文学をえらんだ。芭蕉という名…