東天の虹 月食の夜

吉祥寺では廻っても収穫はなかったが、井の頭線に乗ったら東の空に満月がみえた。下北沢のホームからもきれいに見えて、南口の古本屋で堀口大學「東天の虹」を手に入れる。代官山では、パルコの後輩が「ちいさな額」という展示会をやっている画廊へ向かう。二度目になる路地裏の会場で元パルコの先輩と後輩ふたりの女性。デザイナーと元人事。次の会場までの空いた時間をオープンしたばかりの蔦屋書店で過ごす。天井近く手に届かない棚に売り物の本があったりと、まあ二度と来ないであろう。ファミマのイートインでパスモで買った肉まんを食べる。国高卒業生のクリスマスパーティ会場は近所のクラブスペース。150名もの若者が集まった。私の卒年に生まれた社会人の女性たちや、震災募金活動に参加した大学生の女の子。フリードリンクが終了し外に出ると、みんな空にケータイを向けている。その姿を撮ったらと業界誌編集者の女性に話すと、なるほどとケータイを彼女たちに向けた。恵比寿まで歩いたがふと思い直し渋谷で降りて、木工作家を囲む会が続く李白へ。画廊にいたふたりともおしゃべり。他にも目白にいた時に近所だった女性や、野川にいた頃の話をする女性。さまざまな昔話が重なっても生ビールは一杯。満月がすっかり地球の影に入る時刻に店を出ると、街の至るところで空を見上げている。日食と違いまるで夕陽のように赤いぼんやりとした月が見えた。高田馬場で座ることができ最終電車西武遊園地駅。凍てつく星空に白く鋭く輝く欠けた月が戻る。余韻を楽しみつつひとり歩く。