野田首相さらに窮地に=民主、集団離党にお手上げ

 野田佳彦首相が推し進める消費増税路線は28日、民主党内山晃元総務政務官らの集団離党を招いた。首相が「不退転の決意」で指示した年内の意見集約は絶望的で、かえって窮地に追い込まれた。離党者はさらに増えるとの観測もあるが、これにひるめば増税反対派を勢いづかせかねない。あくまで「年内」にこだわるのか。29日にインド訪問から帰国する首相はぎりぎりの判断を迫られる。
 内山氏は離党会見で、消費増税や環太平洋連携協定(TPP)交渉参加、八ツ場ダム建設継続を挙げてマニフェスト政権公約)違反と断じ、「野党として是々非々で民主党に対応していく」と宣言。行動を共にした斎藤恭紀氏は記者団に「今の民主党と全面対決だ」と強調した。
 所属議員が集団で離党届を出すという政権交代以来最大の危機に、党執行部は「まだ1人、2人出る。なるようにしかならない」(幹部)とお手上げの状態だ。樽床伸二幹事長代行は記者会見で、離党届提出について「責任の重さは痛感している」と述べたものの、内山氏らを慰留したわけでもなく、積極的に離党阻止に動いた形跡はない。
 こうした中、党税制調査会社会保障と税の一体改革調査会の28日の合同総会で、両調査会幹部は消費税率を2013年10月に8%、15年4月に10%に2段階で引き上げるとの案を提示。反対派は景気への悪影響を訴えて猛反発し、29日も協議続行となった。党幹部の口からは「決定は越年だろう」などと悲観的な言葉ばかりが漏れる。
 内山氏らに続き、横峯良郎参院議員も離党届を提出。地域政党新党大地」の鈴木宗男代表が松木謙公元農林水産政務官民主党を除名)らと連携して結成する新党に参加する。国民新党亀井静香代表も、石原慎太郎東京都知事との新党構想を掲げて民主党若手に働き掛けを続けており、野田政権の動揺は拡大する一方だ。(2011/12/28-20:50)時事ドットコム