橋下大阪市長:施政方針演説(5)=政治と行政

 今回の市民・府民の皆様の選択は、「大阪の仕組みそのものを変えてほしい」という選択です。

 私は、政治と行政が、まずは、互いの本質や違いを分かりあい、役割分担を認識したうえで、徹底した対話と議論を行うことが重要だと考えております。政治家でもある私に対して、市役所職員が民意を語ることは許しません。民意というものを語るのは公選職、選挙で選ばれた者だけだと思っております。この市役所内で公務員として正式に民意を語ることは許しません。私が下した政治決断には、行政組織の持てる力を結集して実現に努めてほしいと考えております。

 大阪市役所の組合問題にも執念を燃やして取り組んでいきたいと考えております。大阪市役所の組合の体質はやはりおかしいというふうに率直に感じます。この庁舎内で、政治活動をすることは、これは当然許されません。現職の知事として大阪市役所内に足を踏み入れた時、大阪市役所から現職の知事である僕に宣言されたことは、市役所内で一言も発言をするなということでした。それは、政治活動につながるということだったわけです。そうであれば、組合が、この公の施設で、政治的な発言を一言でもするようなことがあれば、これは断じて許せません。選挙で選ばれた知事ですら、この市役所の中で政治発言が許されないということであれば、選挙による民主的統制を受けていない職員組合が政治活動ということを少しでも行うことは、これはあってはならないことです。そういうことを今まで許してきた大阪市役所の体質を徹底的に改めていきます。先日、公の施設内で政治活動が行われていたことに関し、市民に対しての謝罪を求めたところ、大阪市役所のこの組合は、謝罪文一枚で済まそうとしております。5階に市民の代表である僕がいるわけですから、地下から上がってきて5分でも謝罪しに来れば済むところを、紙一枚で済ますなんていう、このような感覚は市民感覚とはかけ離れております。一体これはどういうことなんでしょうか。だいたい、あいさつ、しつけ、こういうことをしっかりと子どものときにしてこなかった子どもは、大人になってろくでもない大人になります。今の大阪市役所のこの組合は、あいさつというしつけすらできていない状況だと思っておりますので、この謝罪の件に関しては、直接のおわびをするようにということを強く組合に求めておりますが、まだその返事はいっこうにありません。当たり前のことが大阪市役所の組合にはできません。紙一枚で許されるようなことではありませんが、このようなことを許してきた大阪市役所の体質、そして議会の皆様にも、責任を感じていただきたいと思っております。大阪都構想の実現、大阪の統治機構を変えるということに、これから執念を燃やしていきますが、それと同時に、組合を適正化する、ここにも執念を燃やしていきたいと思っております。

 今後、大都市制度のあり方はもちろんのこと、さまざまな改革や政策を実現していくプロセスにおいて、市会の皆様方に丁寧に説明し、真摯に議論を重ねてまいりたいと考えております。

 私自身は非常にしつこい性格でありまして、もう一言、組合について述べさせてもらいたいと思うのですが、大阪市役所のこの組合の体質というものが、今の全国の公務員の組合の体質の象徴だと思っております。ギリシャをみてください。公務員、公務員の組合というものをのさばらしておくと国が破綻してしまいます。ですから、大阪市役所の組合を徹底的に市民感覚にあうように是正、改善していくことによって、日本全国の公務員の組合を改めていく、そのことにしか日本の再生の道はないというふうに思っております。

 大阪都構想と組合の是正、これによって日本再生を果たしていきたいと思っております。

毎日新聞 2011年12月28日 20時01分(最終更新 12月28日 20時23分)