2011-09-19から1日間の記事一覧

冬瓜を食す

おととい買ったミニ冬瓜を半分つかって夏の疲れをいやす料理。ずいぶん前にやってその滋味に感動した舌の記憶が残る。しかしレシピが思い出せない。料理本を三冊抜いてきて、まあ、ブリ大根の要領だなと確認。スーパーで解凍ホタテの貝柱を買う。胸が高鳴る…

川村二郎69歳

教育論議に立ち入るつもりは今はない。しかしかりに記憶力より思考力が大事だとしても、何も知らなければ、考えることもできないのである。そしてまた、わけも分らずただおぼえていた言葉の意味が、後になって初めて分った時、最初から嚙んで含めるように教…

矢作俊彦53歳

「ああ、そうだ。あの花火、どうもありがとね」と、少女は言った。 思い出すまで、少し時間がかかった。 「あれね。うちに帰ってすぐやったの」 「朝だったじゃないか」 「そうだよ。お風呂場で電気消して。もう煙ったくて死にそうになっちゃった。でも、あ…

幸田露伴60歳

紹巴は時々この公を訪うた。或時参って、紹巴が「近頃何を御覧なされまする」と問うた。すると、公は他に言葉もなくて徐(おもむ)ろに「源氏」とただ一言。紹巴がまた「めでたき歌書は何でござりましょうか」と問うた。答えは簡単だった。「源氏」。それき…

大岡昇平56歳

この人物が直ちに怨霊として土俗信仰と結びついたのは、多くの英雄と共通している。アキレウスもまたその廟を持っていた(ついでにいえば、将軍塚と同じく、その肢体の一部しか葬られていないこと、あるいは全く埋葬の主体を欠くのも、多くの英雄の廟に共通…